アレルギー疾患その3:喘息

喘息(気管支喘息)は、気管支(気道)に慢性的な炎症が起こっている病気です。
喘息にかかると咳や痰、呼吸困難などの症状が引き起こされます。
ホコリやダニ、タバコの煙などさまざまな要因で喘息発作は起こります。

今や日本国民の3人に1人が喘息を発症していると言われているほど、喘息は身近な病気です。
かつては子どもの頃に発症する人が多かったのですが、最近では大人になってから発症するケースも増えてきています。

喘息のメカニズム

喘息は気管支が慢性的な炎症を起こしているために、少しの刺激に反応して炎症が悪化し、気道が狭くなる病気です。

正常な気管支は、炎症などがなく空気がスムーズに出入りできる状態にあります。

正常な気管支

一方で、喘息患者の気管支はこのようになっています。

喘息患者の気管支

喘息発作を起こしていない時でも、上の図のように気管支粘膜がむくんで粘膜上皮が傷ついてしまっているのです。
この状態で何らかの刺激を受けると、炎症が悪化して痰がたまって咳が出るようになり、さらに気道が狭くなるので呼吸困難に陥ります。

喘息の要因

喘息は主に下記の要因で引き起こされます。

喘息の要因

・アレルギー反応
  アレルギー反応で起こる喘息は、血液検査や皮膚検査でアレルゲン(アレルギーを起こす物質)を特定することが可能です。
主な物質はハウスダスト(ダニやカビ)、ペットの毛などです。

・気道を刺激する物質
  たばこの煙やガス、石油などがこれに当てはまります。

・感染症
  ウイルスに感染すると風邪をひきますが、ウイルスによっては気道に炎症をもたらし喘息発作を起こすことがあります。
単なる風邪だと思っても、ゼーゼー・ヒューヒューという喘鳴(ぜんめい)や息苦しさなどがあれば、喘息を疑った方がよいでしょう。

・気象条件
  空気が乾燥したり、気温が急に下がったりすることで起こる喘息もあります。
季節の変わり目に喘息発作が起きやすいと言われているのはこのためです。

・精神的なストレスや疲労
  過度なストレスや疲労が続くと、免疫力が落ちて気管支が炎症を起こしやすくなって喘息になることがあります。
近年大人になって喘息を発症する人が多いのは、これが原因となっているものが多いのではないでしょうか。

喘息患者が急増中?!

アレルギー疾患は全体的に患者数が年々増加していると言われていますが、中でも喘息は増加率が高いのです。

厚生労働省が平成28年に発表した「アレルギー疾患の現状等」によると、平成20年の喘息患者数がおよそ900万人だったのが、平成26年には1,200万人近くにも増えています。

喘息患者を年齢別に分けると、およそ4割が19歳以下で、これは他のアレルギー疾患とそれほど差がありませんが、45歳~69歳の患者数は、喘息が他のアレルギー疾患よりもはるかに多いのです。

これは、先ほど述べた現代社会特有のストレスや疲労という要因が関係している可能性が高いでしょう。
さらに、産業技術が進化してきた中で大気汚染という問題も大きくなってきたことも関連していると言われています。

喘息で死にいたることも

喘息発作を起こすと気道が狭まるので呼吸が困難になるのですが、発作が重症化することで窒息死するケースがあります

国内の喘息発作で命を落とす人は年々減少傾向にあり、1995年に喘息発作で亡くなった人は7,253 人でしたが、2016年には1,511人にまで減っています。
それでも、喘息発作が悪化すると死亡する危険性があるということには変わりないのです。

喘息を発症したら、命を守るためにもできるだけ発作が起きないように心がけたり、発作が起きたら重症化しないように気をつけることが大切です。

喘息かもしれないという疑いを持つ

喘息を疑う症状

風邪だと思っていたら喘息だったというケースがありますが、知らない内に喘息を発症していると気づかないうちに症状が悪化して、重度の喘息発作が起きて病院に行くと、そこで初めて喘息だと知るということがあります。

咳などの症状が出ても「ただの風邪だろう」とやり過ごすと危険な目に遭うかもしれないのです。

次の項目のひとつでも当てはまった方は、喘息持ちの可能性があります:

・子どもの頃に喘息を発症したことがある
・家族に喘息持ちの人がいる
・風邪をひくと咳が2週間~1ヶ月ほど続く
・季節の代わり目や空気が乾燥しているときに咳が出る
・タバコの煙やクーラーの風で症状が出る
・ホコリの多い場所にいると症状が出る

喘息の診断方法

喘息は、下記のような検査を受けて診断されます。

アレルギー検査

・皮膚反応テスト:アレルギー反応を調べる
・血液検査:血液中のアレルギー関連物質を調べる
・吸入誘発テスト:(血液検査で陽性反応が出た場合)
・アレルゲンエキスを吸入して発作が起こるかどうかを調べる

気管支の状態を調べる検査

・胸部X線検査
・呼吸機能検査
(気道が狭まっていないかどうかを確認するため、肺活量などを測定する検査)
・喀痰(かくたん)検査
・気道過敏性検査

検査を通して喘息だと診断されて初めて適切な治療が受けられます。
咳や痰が続くのに風邪で終わらせると、いつか危険な目に遭うかもしれません。
そのような症状に心当たりがある方は、喘息の検査を受けることを強くお勧めします。

喘息の治療方法

喘息の治療には大きく分けて2つあり、「症状の発生を抑えるために日頃から行う治療」(長期管理治療)「症状や発作が起きた時に行う治療」(発作治療)とで分かれます。

喘息患者の気管支は、症状が現れていない時でも慢性的に炎症を起こしている状態です。
それが何らかの刺激を受けることで炎症が悪化して症状が出たり発作が起きたりするのです。

よって、普段から炎症を悪化させないように治療することと、発作が起きてしまった時に即座に症状を和らげる治療が大事なのです。

長期管理治療

発作が起きた時はすぐに症状を和らげる必要があるので、皆さん割とすぐに病院を受診するのですが、長期管理治療になると症状が出ていないので治療の必要性を感じることが少なくなります。

よって日々の治療を怠る人がいますが、これでは風邪をひいた時などに発作が起きやすくなってしまうので、発作を予防するために長期管理治療はとても大切です

長期管理の薬物治療

長期管理治療では、主に抗炎症作用を有する吸入ステロイド薬と長時間作用性吸入β2刺激薬を混合したものが使用されます。

アドエアやそのジェネリック医薬品のセロフロが代表的なお薬で、ステロイドのフルチカゾンとβ2受容体刺激薬のサルメテロールを配合している吸入薬です。
ステロイドは炎症を抑え、β2受容体刺激薬は気管支を拡張させる作用を持っているので、より効率よく発作の予防ができます

発作治療

発作時には、気道の周囲の筋肉が縮んで気道が狭くなっています。
気道が狭くなると呼吸困難を招いてしまうので、すぐに気道を確保するために気管支拡張薬を用います。
気管支拡張薬には吸入タイプのほかに貼り薬や飲み薬がありますが、即効性があるのは吸入タイプです。

発作治療に向いている薬といえば、アスタリンインヘラーがあげられます。
気管支拡張薬を使っても症状がよくならないときは、重度の発作が起きているときです。
横になれない、会話できないほどの呼吸困難が起こったり唇が紫色になった時は、直ちに医療機関を受診しましょう

喘息の予防策

喘息予防方法

喘息では風邪をひいた時に発作が併発しやすく咳が長引く傾向にあるので、なるべく風邪をひかないように予防を徹底しましょう
また、アレルギーが原因で喘息を起こす人も、次の予防策で対処できるでしょう。

マスクを使用する

風邪は特に気温が低い時や空気が乾燥した時にひきやすいのですが、風邪をひいて喘息を併発しないようにするには、マスクの着用をお勧めします。

冷たい空気や乾燥した空気を吸うと喉が渇いて咳が出やすくなるのですが、マスクをすると呼気から出る湿気がマスク内に溜まり加湿効果が期待できます。

また、マスクはハウスダストや花粉といったアレルゲン物質を身体に取り込まないようにすることもできるので便利です。

こまめに掃除をする

ハウスダストや花粉などのアレルゲン物質によって喘息を発症した人は、こまめに身の回りを掃除することによって発作を起こすアレルゲン物質を除去することが大切です。

特に小さい子どもがいる家庭は、掃除を徹底することをお勧めしますが、こまめに掃除するのが難しい場合は、家事代行サービスなどを利用して定期的にプロに掃除をしてもらうと良いでしょう。

こまめに換気する

ダニは湿度の高い場所を好み、室温が20~30度、湿度が60~80%の場所で繁殖しやすいとされています。
部屋の風邪通しが悪いと湿度が高いままでダニがどんどん繁殖します。

喘息予防には湿度も大切ですが、アレルギー物質による気管支喘息を発症している場合は、こまめに部屋の換気をして空気の入れ替えをしましょう。

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