糖尿病の治療法
糖尿病と診断されると、早急に治療を行う必要があるのですが、糖尿病を治療することは血糖値を正常値まで下げることです。
血糖値が高い状態が続くと、気づかないうちに神経や眼、腎臓など身体のいたるところがむしばまれ、合併症を引き起こしてしまいます。
糖尿病の治療では、そのような合併症の発症を食い止めることも狙いなのです。
そして糖尿病の最終的な目的としては、糖尿病を持っていない人と同じくらいの健康レベルまで持っていき、健康寿命を保つことにあります。
糖尿病の治療法

糖尿病はお薬を飲めば完治するというようなものではありません。
血糖値をコントロールするには、長期的に食事や運動に気を使い、さらに薬物治療を行う必要があります。
食事療法
食事療法は糖尿病治療の中でも基本的なものです。
糖尿病には1型と2型がありますが、どちらもきちんと食事制限をしておかなければ、血糖値のコントロールができません。
毎日の食事では、カロリーの摂りすぎに注意して栄養バランスを取ることが重要です。
自分にとって適切な摂取カロリーは、下記の計算式で求めることができます:
【エネルギー摂取量 = 標準体重 × 身体活動量】
身体活動量とは、身体を動かす程度によって決まる必要なエネルギー量を指し、次の3タイプのどれに当てはまるか見てみてください:
軽労作 (デスクワークが主な人、主婦など) |
25~30kcal/kg標準体重 |
---|---|
普通の労作 (立ち仕事が多い職業) |
30~35kcal/kg標準体重 |
重い労作 (力仕事が多い職業) |
35~kcal/kg標準体重 |
(参考:日本糖尿病学界 編:糖尿病治療ガイド2010食事療法 p38, 文光堂, 2010)
なお、糖尿病患者が食べてはいけない食品というものはないのですが、決められた必要エネルギー量を超えないで、かつタンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルといって栄養素を十分に摂取することが大切です。
運動療法
血糖値を改善するには、日々の運動も欠かせません。
有酸素運動を行うことで筋肉への血流がよくなると、ブドウ糖が細胞内に取り込まれてインスリンの働きが促進され血糖値が良くなります。
また、筋トレといった無酸素運動によって筋肉量を増やすことでも、血糖値が下がりやすくなるといわれています。
積極的にスポーツやトレーニングを行うのも大切なのですが、忙しくて運動する時間が無い方は、日常生活においても家事や掃除などでできる限り身体を動かすと良いでしょう。
薬物療法
1型糖尿病はインスリン療法が必要です。
2型糖尿病では、食事療法と運動療法で血糖コントロールが十分えられない時に、病態や高血糖状態に合わせて経口血糖降下薬や、注射としてインスリンあるいはGLP-1受容体作動薬を用います。