健康的なダイエット~運動編~

ダイエットを通して減量を目指している人の中には、運動をせずに痩せようとしている人がいますが、運動はダイエットと切っても切れない関係です。
運動をしないで痩せることは十分に可能ですが、それはやはり健康的であるとはいえませんし、たとえ減量できたとしてもリバウンドする恐れがあります。
運動したくない・運動できない理由もあるかもしれませんが、ダイエットにおける運動の必要性を理解して運動を取り入れる努力をしましょう。
ダイエット中に運動するメリット
運動はただ単にカロリーを消費するものと考えている方は多いのですが、運動はそれだけでなく色々な面でダイエット効果を発揮するのです。
消費カロリーが増える
消費カロリーとは、基礎代謝や食事誘発性熱産生、運動によって消費されるカロリーを指します。
基礎代謝はじっとしているだけで消費されるエネルギーのことなのですが、人間が1日に消費するエネルギーの約60%は基礎代謝で、10%が食事誘発性熱産生、残りの30%が身体活動量だと言われています。
運動習慣がない人はこの30%分のエネルギーの消費が悪くなっているのです。
逆に運動を積極的にする人は、消費エネルギーが増えることで脂肪が蓄積しにくくなります。
体力がアップする
運動を継続すると筋肉がついてきて、さらにたくさん身体を動かすことができるようになります。
するとさらに運動できるようになるため、さらなるダイエット効果が期待できるというわけです。
体力がアップすると日々の活動で疲れにくくなるというメリットもあるので、疲れやすいという方は特に運動することをお勧めします。
リバウンドしにくくなる
ダイエット中に運動すれば、筋肉がついて基礎代謝がアップするのでダイエット後にリバウンドするリスクが低くなります。
さらに運動が習慣化すれば、ダイエットに成功した後も運動を通して体重をコントロールしたりストレスを発散させたりできるでしょう。
ダイエットに運動を取り入れるポイント
運動がダイエットに多くのメリットをもたらすことがわかりましたが、実際にダイエットに運動を取り入れる時に意識したいポイントをご紹介します。
METs(メッツ)
よく「30分ウォーキングすると○○kcal消費される」というように、身体活動別の消費カロリーが紹介されていますが、実は同じ活動を同じ時間行ったとしても体重によって消費カロリーに違いが出ます。
しかし、毎回自分の体重での運動による消費カロリーを計算することは難しいので、METs(メッツ)という指標を使うことが多いのです。
METs(メッツ)とは「Metabolic Equivalents」の略で、トレーニングなどの身体運動時の代謝量が安静時の何倍に相当するのかを示す尺度で、わかりやすくいうと「運動強度」のことです。
運動強度を「メッツ」という単位で表し、座って安静にしている状態が1メッツとされており、普通歩行は3メッツとなっています。

メッツ | 活動内容 | 1エクササイズに相当する時間 |
---|---|---|
3 | 自転車エルゴメーター:50ワット、とても軽い活動、ウェイトトレーニング(軽・中等度)、ボーリング、フリスビー、バレーボール | 20分 |
3.5 | 体操(家で。軽・中等度)、ゴルフ(カートを使って。待ち時間を除く。) | 18分 |
3.8 | やや速歩(平地、やや速めに=94m/分) | 16分 |
4 | 速歩(平地、95~100m/分程度)、水中運動、水中で柔軟体操、卓球 | 15分 |
4.5 | バドミントン、ゴルフ(クラブを自分で運ぶ。待ち時間を除く。) | 13分 |
4.8 | バレエ、モダン、ツイスト、ジャズ、タップ | 13分 |
5 | ソフトボールまたは野球かなり速歩(平地、速く=107m/分) | 12分 |
5.5 | 自転車エルゴメーター:100ワット、軽い活動 | 11分 |
6 | ウェイトトレーニング(高強度)、ジョギングと歩行の組み合わせ(ジョギングは10分以下)、バスケットボール、スイミング:ゆっくりしたストローク | 10分 |
6.5 | エアロビクス | 9分 |
7 | ジョギング、サッカー、テニス、水泳:背泳、スケート、スキー | 9分 |
7.5 | 山を登る:約1~2kgの荷物を背負って | 8分 |
8 | サイクリング(約20km/時)、ランニング:134m/分、水泳:クロール、ゆっくり(約45m/分) | 8分 |
10 | ランニング:161m/分、柔道、空手、キックボクシング、テコンドー、ラグビー、水泳:平泳ぎ | 6分 |
11 | 水泳:バタフライ、水泳:クロール、速い(約70m/分)、活発な活動 | 5分 |
15 | ランニング:階段を上がる | 4分 |
引用:厚生労働省:標準的な健診・保健指導の在り方に関する検討会第3回資料
運動量を「エクササイズ」という単位で表すのですが、「エクササイズ=運動の強度(メッツ)×時間」で計算することができます。
例えば、3メッツの身体活動を1時間行った場合、
3メッツ×1時間=3エクササイズ
となります。
「メッツ」と「エクササイズ」を使って消費カロリーを計算する際は、下記の計算式を使います。
1エクササイズあたりの消費エネルギーの計算式(簡易換算式):
エネルギー消費量(kcal)=エクササイズ×体重(kg)
※旧基準及び旧指針ではkcalで表したエネルギー消費量を算出するために、メッツ・時と体重(kg)と 1.05の係数の積を用いていましたが、近年ではアメリカスポーツ医学会を中心に、計算の煩雑さを無くすため1.05の係数を用いないで算出して良いとされています。
例えば体重60kgの人が3メッツの身体活動を30分(0.5時間)行った場合、
3メッツ×0.5h×60kg=90kcalなので、
30分で90kcalを消費したことになります。
消費カロリーを増やしたい場合は、METsを参考にして運動する習慣をつけることをお勧めします。
筋トレ(無酸素運動)

ダイエットで減量を目指す人、特に女性はダンベルや筋トレマシンを使った筋トレ(無酸素運動)をすることでがっちり体型になってしまうのではないかと危惧する人が多いのですが、軽い筋トレならマッチョになる心配はありません。
女性の場合はテストステロンと呼ばれる男性ホルモンの分泌が男性に比べて少ないことから、筋トレをしても筋肉質にはなりにくい性質なのです。
筋トレは消費カロリーを増やすうえでとても重要なものです。
筋トレ自体では脂肪は消費されにくいのですが、基礎代謝は筋肉の量に比例して増えていきます。
つまり筋肉量が増加することで脂肪が燃焼されやすくなり、痩せやすくなるのです。
全身の筋トレを3ヶ月間実施した研究によると、基礎代謝量は約100kcal増加するという結果が報告されています。
筋トレは運動強度が高いのでなかなかやる気が起きないという方も多いでしょう。
しかし、筋トレは1日10~20分行うだけで十分効果が出るとされています。
長時間筋トレを行うと、筋肉の成長を促すテストステロンが減少してしまうので、かえって逆効果です。
頻度もそれほど多くある必要はなく、週に1~2回で良いといわれています。
筋トレを行う時間帯としては、午前中がオススメです。
朝筋トレを行うと、1日のエネルギー消費量が10%も増えるといわれているのです。
さらに、筋トレを行うことで脂肪の分解を促進するアドレナリンの分泌量が増え、脂肪が消費されやすくなるともいわれています。
有酸素運動

有酸素運動はウォーキングやジョギング、水泳といった長時間継続して行う運動です。
筋トレと比べてより気軽に行えることが魅力で、有酸素運動には基礎代謝の向上や体脂肪の燃焼といったダイエット効果が期待できます。
ただ、有酸素運動を行うだけでは思ったような効果は得られないかもしれません。
下記のポイントを参考にして有酸素運動をダイエットに役立ててください。
筋トレの後に有酸素運動を行う
筋トレの後は代謝が上がっている状態なので、筋トレ後に運動をすると脂肪燃焼効果がアップするとされています。
筋トレから1時間経過した頃から脂肪の分解がはじまり、2時間後にピークを迎えます。
よって、筋トレから2時間後に有酸素運動を行うことをお勧めします。
20分以上行う
有酸素運動は20分以上行わないと効果が出ないと訊いたことがある方は多いでしょう。
その理由は、有酸素運動を開始してから15分ほどで脂肪の分解がはじまり、はっきりとした効果が出るまでに約20分かかるといわれているからです。
実際には時間は関係ないともいう専門家の声もあがっていますが、ダイエット効果を効率よくあげるなら最低でも20分行うことが良いのでしょう。
なお、ダイエット目的で行われる有酸素運動は主にランニングですが、体重50kgの人が1時間ランニングを行った場合、METsを用いた計算では消費カロリーが、
1.05×(8.3×0.5)×50=217.8(kcal)
となります。
空腹時に行わない
空腹時の有酸素運動は、筋肉の分解量が2倍以上にも増えるといわれています。
筋肉量を減らす恐れがあるだけでなく、有酸素運動後のアフターバーン効果(高強度の運動をした後に身体が通常よりも多くのカロリーを消費する状態)も発揮されない可能性が高くなってしまうのです。
有酸素運動前に空腹を感じている際には、運動の30分前くらいに軽くエネルギーを補給すると良いでしょう。