双極性障害

双極性障害は、かつては躁うつ病と呼ばれていた精神疾患です。
日本における患者の割合は500人に1人とされ、男女や年齢関係なく発症する可能性があります。

興奮状態となる「躁」と気分が激しく落ち込む「うつ」を交互に繰り返す病気で、うつ病と同じ気分障害に分類されます。
しかしこの二つは違う病気で、治療方法も異なるため、正しい知識を持たなくてはなりません。

双極性障害の特徴

躁とうつが交互に入れ替わるのがこの病気の特徴です。
躁状態の時は気分が高揚し、眠らなくても平気で、次々とアイディアが湧き仕事でも調子が良いように思います。

しかしちょっとした事で集中力が切れる、些細な事で怒りやすくやすくなるなど、本人も予測がつかない気分の変化があります。
行動が衝動的になり、上司とケンカし辞表を叩きつけるなど、今まで積み上げてきた人間関係を一瞬で壊してしまう事も。

一方でうつ状態となると、激しい抑うつ・不安・焦り・倦怠感・意欲低下や絶望感・罪悪感に苛まれ、自殺企図による生命危機もある病気です。

双極性障害は1型、2型に分けられます

双極性障害1型2型の画像

躁状態とうつ状態を繰り返す双極性障害は、1型、2型に分けられています。
違いは躁状態の度合いです。

双極性障害1型

激しい躁状態となるのが1型です。

1型の躁状態は、気分が非常に高揚し、自信過剰になったり、怒りやすくなったりします。
服装が派手になる・浪費する・眠らなくなる、・普段よりも口数が増えるもの特徴として挙げられます。

ギャンブルに全財産をつぎ込んだり、危険な性行動に走ったりと、現実離れした行動によって社会的生命を脅かす危険性があり、入院が必要となる場合もあるでしょう。
1型の場合は、うつ状態が4カ月~1年、躁状態が2週間~4.5カ月続き、繰り返されます。

双極性障害2型

1型と比較して軽い躁状態(軽躁病)であるのが2型です。

元気が良く、心身共に活発で、睡眠もあまり必要としません。しかし注意が散漫になったり、気分がめまぐるしく変わったりします。
1型よりも症状が軽いわけではなく、むしろコントロールがしにくく、うつ病を再発しやすいです。

2型は軽躁が最低4日、うつが最低2週間続き、繰り返されます。

発症するきっかけ

この病気を発症するはっきりとした原因はまだ明らかにされていませんが、現段階の研究によると、以下の原因が影響していると言われています。

・ストレス

日常生活におけるストレスや、身近な人の死、結婚、出産、就職など人生に関わる出来事が引き金になり発症する場合があります。

・遺伝

同じ家系に双極性患者がいる場合、発症率が高まるという報告があり、遺伝も関係しているとされています。

・性格や気質

人付き合いが良く社交的、明るく気配りができ、ユーモアに富んでいる循環気質が双極性障害になりやすい傾向にあります。
しかし几帳面で責任感の強い執着気質もなりやすいという説も出ているようです。

双極性障害は診断が難しい

躁状態の時はむしろ調子が良いと感じ、「これが本来の自分である」と思ってしまうため病気を認識できません。
うつ状態へ入った時に不調を訴え病院を受診し、うつ病を告げられるケースは珍しくなく、診断が難しい病気でもあります。

抗うつ剤のみで治療を続けると、急激に躁状態が現れ経過が非常に不安定です。
正しい診断を受けるまで平均7.5年かかるという報告もあります。

双極性障害の治療

双極性障害の治療は、薬物療法と精神療法を組み合わせて行ないます。

精神療法はカウンセリングではなく、自らの病気を知り、受け入れ、自分自身で症状をコントロールする援助を行ないます。

治療薬
・気分安定薬(気分の波を抑える)   :ラミクタール・リチウム など
・非定型抗精神病薬(躁を穏やかにする):エビリファイ
精神療法
・認知行動療法:物事を肯定的に捉えられるよう、考え方を修正していく
・対人関係療法:対人関係におけるストレスを減らして、生活の中で起きる変化に順応する力をつける
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