性器クラミジア・淋病

性感染症の中でも患者数が多い性器クラミジアと淋病。原因菌は異なるものの、症状や治療法にいくつかの類似点があります。

1回の性行為で感染する可能性は高いのですが、女性は特に初期症状が出にくいため、発見が遅れてしまうことも多いのが特徴です。

症状が進行すると不妊などを招く恐れがあります。適切な対応を行うためにも正しい知識をつけましょう。

性器クラミジアとは

性器クラミジア感染者数の推移

性器クラミジアは日本国内で最も患者数が多い性感染症です。18~30歳の男女に多いとされています。

クラミジア・トラコマチスという菌が原因で、1~3週間の潜伏期間中にも性行為によって感染することがあります。

母子感染によって流産や早産、または新生児の肺炎や結膜炎を招く恐れがあり、妊娠前に検査を促す病院も多くなりました。

そしてHIV(AIDS)への感染率が通常の5倍近くになるという報告も。深刻化する前に症状に気付くことが肝心です。

男性の症状

男性が性器クラミジアに感染すると、初期症状として尿道炎を起こします。早い段階で違和感を覚えるでしょう。

尿道に侵入した菌は徐々に睾丸や精巣にも広がり、炎症による腫れ・痛みを起こします。これが悪化すると男性不妊の原因となります。

✔尿道から膿(サラサラした白っぽい分泌物)が出ている
✔排尿時に痛み・違和感がある
✔睾丸あたりに鈍い痛みがある

このような自覚症状がある場合は早急に検査を受けましょう。

女性の症状

性器クラミジアに感染した女性の約8割は初期症状に気付きません。その理由は症状の現れ方にあります。

女性の初期症状として最も多いのはおりものの増加です。時には生理痛のような下腹部の痛みを感じることもありますが、この症状を生理に伴うものだと勘違いする女性も少なくありません。

また、体質的に元々おりものが多い女性もいるため、なかなか感染に気付けないのです。

膣内の菌が子宮や卵管に達して炎症を起こすと不妊・流産のリスクが高まります。

✔性器に軽い痒みがある
✔ニオイの強いおりものが増えた
✔おりものの色が黄色、または茶色・緑色っぽい
✔性行為の際、挿入時に痛み(性交痛)がある

このような初期症状のうちに治療を行うことで、重症化や感染拡大を防げます。

淋病とは

淋病感染者数の推移

淋菌が原因で起こる性感染症が淋病です。

菌は外気に弱く人間の体外で生存できないため、性行為による粘膜感染が主な感染経路です。

症状は性器クラミジアとよく似ていますが、菌の潜伏期間は3~7日と短く、急激に症状が進行することがあります。

男性の症状

男性が淋病を発症すると、強い排尿痛を感じるようになります。尿道から白くドロドロした膿が出ることも多く、この時点で性感染症を疑う男性がほとんどです。

症状が進行すると、性器クラミジアと同じく睾丸や精巣でも炎症を起こすのですが、痛みや発熱を伴うケースも少なくありません。無精子症に繋がる恐れもあります。

✔排尿時に強い痛みがある
✔尿道から白くドロドロした分泌物(黄白色の膿)が出る
✔陰嚢が腫れ、疼痛がある

性器クラミジアよりも重い症状が出やすいため、悪化する前に検査・治療を行いましょう。

女性の症状

女性の淋病患者は、性器クラミジアと同じく初期症状に気付きにくいとされています。

おりものの増加や性器の痒みなど、女性の症状はほぼ性器クラミジアと同じです。

ただし症状が進行することで腹膜炎や子宮内膜炎、子宮外妊娠を招く恐れがあります。母子感染することもあるため妊娠前・妊娠中の女性は特に注意が必要です。

✔性器に軽い痒み・腫れがある
✔ニオイが強くドロドロしたおりものが増えた
✔おりものの色が濃い黄色、または茶色・緑色っぽい
✔排尿痛や頻尿など、膀胱炎のような症状がある

女性は無症状であるケースが多い分、重症化しやすいと言えます。違和感があればいち早い検査・治療を行いましょう。

性器クラミジアと淋病は併発することも多い

淋病に感染している患者の2~3割は性器クラミジアを併発していることが分かっています。どちらの菌も免疫力の低下を招くため、その他の性感染症にもかかりやすくなってしまうのです。

双方が似たような症状であるため、患者本人が併発に気付くことはほぼありません。

しかし免疫力の低下に伴い症状が深刻化する可能性もあるため、性器の違和感などに気付いた時点で検査や治療を行うことが大切です。

喉への感染にも注意が必要

性器クラミジアや淋病の菌は、オーラルセックスによって喉の粘膜に感染することがあります。これが咽頭クラミジア・咽頭淋病です。

特に淋病は性器・咽頭の両方に感染している可能性が高く、キスにも注意が必要です。

咽頭への感染は男女ともに無症状である場合が多いため、感染が拡大しやすい要因の1つであると言えます。

再感染を防ぐために確実な治療を行いましょう

性器クラミジアや淋病は、自然に治ることがありません。放置していると症状はどんどん進行してしまいます。

症状が軽いうちに対処すれば治療期間は短くなりますが、重症化するほどに治りにくくなるため、早期治療はとても大切です。

▶性器クラミジア/咽頭クラミジアの治療法

①ジスロマック(アジー)を1回服用
②クラビット(レボクインレボフロックスなど)を7~14日間服用

※咽頭クラミジアは治療期間が伸びる可能性があります。

▶淋病/咽頭淋病の治療法

①セフトリアキソンの点滴を1回
②ジスロマック(アジー)を1回服用

※淋菌は抗生物質への耐性菌が増えているため、症状が進行すると内服薬では治りが遅くなることも考えられます。

自分自身が治療を受けたとしても、パートナーが菌を保有している可能性があり、その場合は再感染のリスクが高まります。特定のパートナーが居るのであれば、必ず一緒に治療を行いましょう。

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