むくみの原因と症状
なぜ身体はむくんでしまうのでしょうか。
栄養分の偏った食事や不規則な生活リズム、冷えやすい体質など、むくみの原因はさまざまです。
身近な要因でむくんでいることもあれば、なんらかの病気がきっかけになっていることも。
むくみに悩んでいるのなら、まずは原因を探ってみましょう。
むくみのもとを正しく把握できれば、スッキリとした身体を手に入れる方法が見つけられるはずです。
むくみの原因
水分の摂りすぎや血行不良によってむくみ起きると考えられていますが、原因はそれだけではありません。
むくみは、細胞と細胞のあいだに余分な水分が溜まっている状態。身体がむくんでしまうのは、水分の排出がうまくできていないからです。
ではなぜ、体内に水分が停滞してしまうのでしょうか。
長時間同じ姿勢でいる
何時間も座り続けていると、血管やリンパ管が圧迫されて水分や老廃物が停滞しやすくなります。
また立ちっぱなしでいると、重力の影響で下肢に水分がたまりやすくなります。
デスクワークや立ち仕事など、一日のほとんどを同じ姿勢で過ごしている人はむくみのリスクが高まります。
筋肉の量が少ない
筋肉は、静脈を圧迫して全身に血液を巡らせるポンプの役割を持っています。
とくに、脚部の筋肉は重要です。全身を巡っている血液を心臓へ押し戻すことから、ふくらはぎは第二の心臓とも呼ばれるほど。
しかし脚部の筋力が不足しているとポンプとしての働きが弱く、上半身へ向けて血液を巡らせることができません。
重力が働いているため、どうしても体内の血液は下肢に停滞してしまいがち。
筋肉量が不十分な人は血流が滞りやすく、流れの悪い血液から水分が細胞へと染み出してむくみを生じます。
ホルモンバランスの乱れ
むくみの症状が男性と比べて女性に多くみられるのは、ホルモンバランスの変動による影響があります。
エストロゲンやプロゲステロンといったホルモンの分泌量が増減すると、自律神経(交感神経と副交感神経)のバランスに影響をきたします。
血管の収縮と拡張を司っている自律神経がうまく機能しないと、血行不良を引き起こしやすくなります。
またプロゲステロンの分泌量が増加する月経前は、体内に水分を溜めこみやすい状態。 毎月のように月経を迎える女性は、どうしてもむくみに悩まされる機会が多くなってしまいます。
水分・塩分の摂りすぎ
人間の身体には、体内の塩分濃度を一定に維持する働きが備わっています。
しかし塩分を多く含む加工食品や惣菜などを食べる機会が多いと、塩分の摂取過多に。
身体は体内の塩分濃度を薄めるために水分を溜めこむので、むくみが起こりやすくなるのです。
塩分の多い食事を好む人は、常に水分を溜めこんでいる状態=いつでもむくんでいる可能性があります。
病気の症状としてのむくみ
なんらかの病気の症状として、むくみを生じているケースもあります。
むくみの原因 | 血管内の静水圧上昇 | 血管内の浸透圧低下 | 血管透過性が上昇 | リンパ管の閉塞 |
原因を引き起こす病気 | 心不全、腎不全、下肢静脈瘤 深部静脈血栓症、子宮筋腫 |
栄養不足、肝硬変 ネフローゼ症候群 |
膠原病、内分泌疾患 | リンパ浮腫 |
静水圧の上昇
血管内の水分が増え過ぎたり静脈の流れが悪くなったりすると、静脈の血圧が上昇して血管から細胞へ染み出る水分が増えてしまいます。
浸透圧の低下
血液中の栄養分が減少すると、血管の中に水分を維持するための力=浸透圧の低下を招きます。
浸透圧が下がると血管内に水分を留めておくことが難しくなり、血管外へ出ていく水分の量が増加します。
血管透過性が高くなる
体内物質が血管と血管外を行ったり来たりすることを血管透過性と表します。
病気の影響で血管内に血液を保つことが難しくなり、血管外に水分が出ていきやすくなってしまいます。
リンパ管がふさがる
リンパ管を取りのぞく手術を行なった人や放射線治療を行なっている人は、リンパの流れが滞りやすくなります。
薬の副作用
医薬品によっては、副作用としてむくみを生じることがあります。
【むくみが出やすい医薬品】
抗がん剤
非ステロイド性抗炎症薬(解熱鎮痛剤)
カルシウム拮抗薬(高血圧、狭心症、群発性頭痛の治療薬)
ACE阻害薬(高血圧治療薬)
抗生物質(感染症治療薬)
つらいむくみが続く場合には、治療薬の量を減らす・薬の種類を変更するといった対策が検討されます。
むくみの症状
「むくむ」といっても、症状はひとつではありません。
むくみは、身体の左右両側(全身)に生じる場合には全身性または両側性といい、身体の片側や一部分で起こるのは局在性または片側性と区別します。
むくみの特徴によっても分類があり、むくんでいる部分を指で5~15秒ほど押して痕がついてなかなか戻らないものを圧痕性、痕が残らないときには非圧痕性と呼びます。
全身性 (両側性) |
局在性 (片側性) |
|
圧痕性 | 腎性浮腫 (ネフローゼ症候群) |
深部静脈血栓症 (エコノミークラス症候群) |
非圧痕性 | 粘液水腫 (甲状腺機能低下症) |
血管性浮腫 蕁麻疹(アレルギー反応) |
むくみの原因や症状は多岐に渡るため、症状を改善するためには自分の身体で何が起こっているのかを正確に知る必要があります。
とくに病気の影響でむくみを生じている場合には、医師の指導のもと適切な治療を行なうことが先決です。
仕事や食習慣などの日常的な要因でむくんでいる場合には、セルフケアで予防・改善を目指すことができます。